身体をケアする Part 2

〜 副作用観察は、看護師の最強の武器 〜
講師:古賀 慎一(精神科看護師)
2026年9月4日(金)/ 佐賀市医師会立看護専門学校 2年生
🍀 第5回
🎯 いきなり、国試問題!

第112回 看護師国家試験 より(改題)

抗精神病薬服用中に発熱(39℃)・
筋強剛・意識障害が出現した。
最も疑うべき状態はどれか。

  • 1感染症
  • 2悪性症候群
  • 3てんかん発作
  • 4セロトニン症候群
🤔

答えは…

この90分の 最後 で明らかになります 🌱

🍀 第5回

抗精神病薬の副作用は、
見逃すと命に関わる

  • 🚨 患者は自分で訴えないことが多い
  • 👁️ 医師は1日数分しか診察しない
  • 👩‍⚕️ 24時間そばにいる看護師が最初に気づく
  • 📋 だから「副作用観察」は、看護師の専門技能
SECTION 1 ・ 30分

抗精神病薬の
副作用5大トピック

— これさえ押さえれば命は守れる —

🍀 第5回

これを覚えて帰ろう

🦵

① 錐体外路症状(EPS)

パーキンソニズム・ジストニア・アカシジア・遅発性ジスキネジア

🚨

② 悪性症候群(NMS)

高熱・筋強剛・意識障害/致死率10%

💓

③ QT延長症候群

心電図変化・突然死リスク

⚖️

④ メタボ・体重増加

高血糖・脂質異常・心血管疾患

高プロラクチン血症:女性化乳房・月経異常・性欲低下

🍀 第5回

「動き」の異常を見逃すな

  • 🚶 パーキンソニズム:振戦・筋強剛・小刻み歩行・無動/服薬1〜2週後
  • 😖 ジストニア(急性):眼球上転・斜頸・舌突出/服薬数時間〜数日
  • 🦶 アカシジア:「じっとしていられない」「足がムズムズ」/患者は苦痛だが訴えない
  • 👅 遅発性ジスキネジア:口・舌の不随意運動/長期服薬後(不可逆的)
🔑 EPSは 抗パーキンソン薬(アキネトン等)で対処することが多い。
🍀 第5回

致死率10%、絶対に見逃せない

4徴候を覚える:
高熱(38〜40℃以上)
筋強剛(鉛管現象)
意識障害(混乱・昏迷)
自律神経症状(頻脈・血圧変動・発汗)
  • 🩸 検査値:CK上昇(横紋筋融解)、白血球増加
  • 💊 対応:原因薬中止・補液・解熱・ダントロレン投与
🍀 第5回

「突然死」の前ぶれサイン

  • 📈 抗精神病薬でQT間隔(心電図)が延長
  • ⚡ 致死性不整脈(torsades de pointes、心室細動)誘発
  • 🩺 看護観察:動悸、めまい、失神のエピソードを聞く
  • 📊 定期的な心電図チェックが重要
  • ⚠️ 低K・低Mg血症で増強 → 電解質も注目
🍀 第5回

第二世代抗精神病薬の宿命

  • 🍔 第二世代(オランザピン・リスパダール等)で著明
  • 📈 月3〜5kg増えることも
  • 🩸 2型糖尿病のリスク激増
  • 📊 定期測定:体重・腹囲・血糖(HbA1c)・脂質
  • 🥗 看護介入:栄養指導・運動・体重日記
💡 オランザピン・クロザピンは糖尿病患者には原則禁忌
👥
PAIR WORK・2人で

あなたが先輩看護師なら、
新人に何を最初に教える?

📝 個人で30秒:5つの副作用のうち、新人ナースに「これだけは見逃さないで!」と教える優先度No.1は?

🗣 ペアで2分:選んだ副作用と理由を共有

💡 答えは1つじゃない。「致死率」「頻度」「気づきやすさ」など視点も色々。

⏱ 合計2分30秒
SECTION 2 ・ 20分

ECTのケア

— 電気けいれん療法・誤解されがちな治療 —

🍀 第5回

Electroconvulsive Therapy

頭部に通電して脳に意図的な発作を起こす治療法。
重度のうつ病・希死念慮・治療抵抗性精神疾患に有効。
  • 🎬 メディアの誤解:「拷問」のイメージ → 実際は 麻酔下で行う安全な治療
  • 💊 現代は m-ECT(修正型ECT):全身麻酔・筋弛緩薬下で実施
  • 📊 有効性:薬物よりも早効性、治療抵抗性うつに70〜80%奏効
🍀 第5回

3段階のケア

  • 🌅 治療前:絶飲食6時間以上、義歯除去、不安への対応、同意確認
  • 治療中:バイタル・呼吸監視、麻酔覚醒の補助
  • 🌇 治療後:意識回復・一過性の見当識障害・記憶障害への対応、転倒予防
🔑 治療直後は 「ここはどこ?」 となる患者さん多数。優しくゆっくり説明。
👨‍👩‍👧‍👦
GROUP WORK・4人で

副作用ケース:
緊急対応を考える

📋 場面:抗精神病薬服用中のFさん(48歳・男性)。今朝から体温39.2℃、筋肉が固い、意識がぼんやり

📝 4人グループで5分:① 何を疑う?② 何を観察追加する?③ 医師に何と報告する(SBARで)?

💡 SBAR例(別ケース):
S(Situation/状況):Gさん、リスペリドン服用中。「じっと座れない」「足が動かしたい」と訴えあり。
B(Background/背景):1週間前に2mg→4mgへ増量。
A(Assessment/評価):アカシジアの可能性あり。
R(Recommendation/依頼):減量または抗パーキンソン薬をご検討ください。

⏱ 合計5分
SECTION 3 ・ 12分

身体合併症ケア

— メタボ・糖尿病・肺炎・がん —

🍀 第5回

精神科患者は2倍以上リスクが高い

  • 📊 5項目:腹囲・血圧・血糖・中性脂肪・HDL
  • 📈 心血管疾患リスクが3〜4倍に
  • 👩‍⚕️ 看護介入:定期測定、食事・運動指導、禁煙支援
  • 🍱 病棟食事、レクリエーション、散歩がカギ
🍀 第5回

誤嚥性肺炎は精神科の死亡原因No.2

  • 👅 抗精神病薬で嚥下機能低下
  • 🦷 口腔内不潔(前回学んだ通り)
  • 💤 鎮静で就寝後の誤嚥
  • 👀 観察:食事時のむせ・声の変化(湿性嗄声)
  • 🍽️ ケア:食事姿勢・とろみ・口腔ケア
🍀 第5回

精神疾患患者のがんは発見が遅い

  • 😶 痛みを訴えない、検診を受けない
  • 🚬 喫煙率が高い → 肺がん多い
  • 🩸 看護師が定期検診を促す
  • 💉 がん治療と精神疾患治療の両立支援
  • 🌅 終末期を迎えても、その人らしく生きられるように
SECTION 4 ・ 8分

振り返り

— 副作用と合併症の専門家になった —

🍀 第5回

これだけ覚えて帰ってください

01
錐体外路症状
(EPS)
02
悪性症候群
(NMS)
03
QT延長
04
メタボ
糖尿病
05
m-ECT
🍀 第5回
🎯 冒頭の国試問題、回答編

第112回 看護師国家試験 より(改題)

抗精神病薬服用中に発熱(39℃)・
筋強剛・意識障害が出現した。
最も疑うべき状態はどれか。

  • 1感染症
  • 2悪性症候群 ✨
  • 3てんかん発作
  • 4セロトニン症候群

正解:2

🍀 第5回

NMSの3徴候は永久暗記

  • 2番 悪性症候群:高熱・筋強剛・意識障害=典型例
  • 1番 感染症:発熱はあるが筋強剛は出にくい
  • 3番 てんかん:発作後は逆に弛緩
  • 4番 セロトニン症候群:抗うつ薬中心、ミオクローヌスが特徴的
🔑 「抗精神病薬+発熱+筋強剛」を見たら即NMSを疑え!
🍀 第5回
🎯 もう1問!応用編

アカシジアの理解を試す問題

抗精神病薬の副作用「アカシジア
の典型症状はどれか。

  • 1手指振戦
  • 2口・舌の不随意運動
  • 3じっとしていられない・足のむずむず感
  • 4眼球上転・首のねじれ
🍀 第5回
💡 解答

正解は…

  • 1手指振戦 ← パーキンソニズム
  • 2口・舌の不随意運動 ← 遅発性ジスキネジア
  • 3じっと…足のむずむず ✨ アカシジア
  • 4眼球上転・首のねじれ ← 急性ジストニア

EPS 4つの違いは国試頻出!

🍀 第5回

第6回(9/11)
「プロセスレコード」最終回

いよいよ最後の講義。実習に直結する大事な内容です。

  • 📝 オーランドのプロセスレコード(記入の3要素)
  • 🤝 ペプロウの対人関係看護論
  • 🪞 ロジャーズの自己一致
  • 🌀 転移・逆転移への気づき
  • 🎯 実習で使える!プロセスレコード演習

お疲れさまでした 🌱

抗精神病薬の副作用観察は、看護師の専門技能
あなたが守れる命が、必ずあります。

次回 9/11 最終回でお会いしましょう!